義理のお父さんとは、私がアルコール依存症になるまでの間、何度か酒をご一緒させていただいた。
アルコール依存症になって以降、一緒に飲んだことはない。
尊敬できるお父さん
義理のお父さんは人格者。非常に尊敬できる方だ。
いつもテンションは一定で、イライラしている姿を見たことがない。
精神的にとても落ち着かれている印象だ。
某大企業の役員にまで出世され、仕事で大活躍されているのは言うまでもない。
そして、仕事だけでは決してなくて、家のこともしっかりされる。
奥さん(私の義理の母)の負担が軽くなるように、様々な家事を率先してやられている姿を見ると、自分がなんてダメな夫なのだろうと反省させられてしまう。
お父さんは、私に対しても非常に優しい。
口数は少ないが、いつも温かい言葉をかけてくれる。
「仕事はどう?仕事は大事だけど、無理しすぎは良くないよ」
文章にするとありきたりな言葉に見えてしまうが、お父さんに言われると心が安らぐ。
そんなお父さんは酒が大好き。
普段口数の少ないお父さんも、酒を飲むとよく話すようになる。
危険な酒コミュニケーション
お父さんは外では飲まず、家で飲むタイプだ。
お母さんや妻は酒をほとんど飲まないので、いつも一人で飲んでいるらしい。
私は逆で、誰かと飲むのが好きなタイプなので、「寂しくないのかな?」と思ってしまった。
結婚後に初めて妻の実家に寄せていただく際に、私はお父さんと飲むことをとても楽しみにしていた。
普段一人で飲んでいるお父さんは、きっと私との酒を楽しみにしているに違いないと思った。
私は酒が取り柄だし、お父さんも酒が飲める息子を喜んでくれるだろうと考えていた。
ほぼ全てのコミュニケーションを酒を介しておこなっていた私は、その点においては自信満々だった。
酒を飲めばコミュニケーションは絶対に上手くいくというポジティブな発想だ。
当日、前のめりで迎えた妻の実家での夕食では、私はお父さんにお酒を注ぎつつ、私もたくさん注いでいただいて、大いに盛り上がった。
が、私はのちにアルコール依存症となる男。
ここでも酒が止まらなかった。
ハッと気付くと朝だった。
大の字で寝転んだ身体の右足に、何かがひっかかっている感覚がある。
あれ?
障子に右足を突っ込んで寝ていたのだ。
激しく障子が破れている。
やってしまった…最悪だ…
お父さんを喜ばせたいという思いは完全に空回り。
というか、大失敗。大失態だ。
終盤の記憶が全くない。怖い。恐ろしい。何をしでかしたのだろうl
どーする。どーすんだ、おれ。
今なら過去の自分に教えてあげたい。
「おまえの酒は、取り柄ではないんだよ」と。
このときの私は、そんなことを考えている余裕は一切なく、とにかく別の部屋にいた妻を急いでケータイで呼び、状況を共有した。
愕然とする妻。
絶望する私。
妻の実家では犬を飼っているため、「犬が障子に飛び込んだことにするのはどうか」というストーリーが頭をよぎったが、きちんと謝ることにした。
お父さんもお母さんも優しくて、特に怒られることもなかったが、穴があったら入りたい気持ちだった。
アルコール依存症でなければ…
この一件が唯一の原因ではないが、その後、私は断酒することになる。
断酒後にはじめて妻の実家に寄せていただいた際に、そうとは知らず、お父さんは私に酒を勧めてくれた。
「酒やめたんです」
特にアルコール依存症についての説明はしなかったが、障子破り事件を通して私の酒癖を知ったお父さんは、きっと何かを察したのだろう。
それ以上酒を勧められることはなかった。
酒を飲みながら、たくさんお父さんと話したい思いはもう叶えられない。
二人で焼鳥屋のカウンターで、時間を忘れて盛り上がりたかった。
まぁこういったことは酒を飲まずともできるが、上手く飲める人種ならもっと良かったのになぁ…とつくづく思う。
酒を飲み続けた私の未来は真っ暗だろうけれど、もし叶うならば、アルコール依存症でない自分とお父さんとの明るい未来を体験してみたかったと思う。
確かに、飲みにケーション有効ではあった気がします。
しかし
重度依存だと、記憶亡くなったり悪の部分が多くなり💦
上手に摂取できるなら応援します。自分は無理でしたが、踏ん切りついた(;^_^A
飲みにケーションは、それが通じる相手であれば確実に有効だと思います。
相手次第ですよね。でも通じる相手は多い印象です。
私の場合は諸刃です。
突然記憶が飛び、怖い思いをしたことが何度もあります。