減酒中、2度目のスリップ

2020年10月20日(火)、スリップしました。

私の定めている減酒の自分ルールでは、「薬を服用した状態でビール2杯まで」が飲酒の条件なのですが、ビール3杯とハイボール3杯を自分の意志で飲酒しました

memo
断酒においては、飲酒すること自体をスリップと言いますが、私は断酒ではなく減酒によってアルコール依存症を治療しています。私は自分で定めたルール以上の飲酒をおこなうことをスリップとしています

強い罪悪感に苛まれながらこの記事を書いています。

久しぶりのリアル飲み会

ここのところ、在宅勤務の日数が少しずつ減り、出社する日数が増えてきていました。

出社しているとはいえ、コロナ以前とは比べ物にならないくらい飲み会の予定はなく、安心できる日々でした。

ただ、たまたま10/20(火)と10/21(水)はリアル飲み会(オンライン飲み会ではない)が入っていました。

どちらも断りにくいもので、参加することに決めていましたし、家族も納得してくれていました。

3杯目の飲酒

10/20(火)夜、私の家から歩ける距離の店で集合することになりました。

集合の1時間前、飲酒欲求を抑えるための減酒治療薬セリンクロを服用しました。

一緒に飲むことになっていたのは、年に1度会うくらいの距離感である上司と先輩でした。

私はアルコール依存症の治療をしていることを会社で公表していません

店に着き、「ビールでいい?」と聞かれ、「はい、ビールで」と答えました。

この辺りはいつも通りです。

久々のリアル飲みに少し心躍る気持ちがあったと思います。

そして2杯目も、3杯目も…

3杯目を頼むとき、少し戸惑いがあったような気がしないでもないですが、あまり覚えていません

それくらい、自然にビールをオーダーし続けていました

「あ、3杯目だ…まぁ…いいか…」

そう思いながら飲んだのは何となく覚えがあります。

ここで止める選択肢もあったでしょう。

「明日朝早いのでそろそろ烏龍茶にしておきます」という嘘も方便的な発言が上司や先輩に受け入れられないということもないでしょう。

それを言わなかった(言えなかった)のは、なぜなのでしょうか。

アルコール依存症の脳が発する「もっと飲みたい!」という信号に、私は負けてしまったからでしょうか。

信号には負けていなかった、はず

脳の「もっと飲みたい!」信号に勝つ確率は、飲めば飲むほど下がります。

私の定めている2杯を上限とするルールであれば、わずかに湧いてくる飲酒欲求にこれまで負けることはありませんでした

減酒をはじめてからスリップしたのは今回で2回目ですが、1回目のときも、2杯飲んでさらに飲みたくなったというわけではありませんでした。

スリップスリップ

今回の3杯目のオーダー時も、2杯のビールによる飲酒欲求に私が負けてしまったのかというと、個人的な感覚ではそういったことではないと思っています。

では何が私を3杯目の飲酒に導いたのでしょうか。

アルコール依存症の治療を止めていた

私自身がアルコール依存症患者そのものであるという意識の薄れが最も大きな理由だと思います。

コロナウイルスが流行して以降、すっかり減酒外来から足が遠のいています。

もちろんそれは、外出を自粛していたからで、きっかけは「面倒くさい」などというものではありません。

ただ、今となっては、減酒外来への通院を再開しておくべきでした。

少なくとも、リアル飲み会に身を置くのであれば、その前に通院しなければなりませんでした

在宅勤務が増えリアルな飲み会がなくなってから、飲酒習慣の無い私はどこか気持ちに余裕が生まれていました。

先日、山口達也さんの飲酒運転が話題になりましたが、その際、私はこんなツイートをしていました。

「また共に、治療していけたらと思います」

とツイートしたこのとき、私は厳密には治療をしていませんでした

ただただ、飲みの場から足を遠ざけて、臭いもの(=アルコール依存症)に蓋をしていただけでした。

だって、半年以上通院していないんですから。

3杯目の飲酒につながった最も大きな理由は「アルコール依存症の治療を止めたこと」だと思います。

些末な理由

治療を止めたことがおそらく本質的な問題で、それ以外に思いつく「飲んだ理由」は些末なことだと思います。

今回一緒に飲んだ上司や先輩とは、そんなに親しい仲ではありません。

仕事上の関わりはありますが、プライベートなことまではあまり知らないような仲で、飲み会前は「盛り上がるのかな?」「何を話す?」と心配なところもありました。

酒を飲むと、自分自身は楽しくなりますし、周りも楽しんでいるように感じられます。

盛り上がっているように思えます。

それは酔いによる錯覚なのですが、そういった当たり前のことも忘れて、自身のコミュニケーション能力を酒に頼ってしまった部分がありました。

それから、コロナ下で家族以外の人との関わりが減ったことで、久々の外界とのリアルな接触で羽を伸ばしたい気持ちになってしまった部分もありました。

でも、それらの根底にあるのは、やっぱり治療を止めたことでしょう。

とにかく、何が何でも早く減酒外来に行かなくてはと反省しています。

迷いの帰路

帰り道、店から出る際には足が少しふらついていました。

6杯も飲めば、酔います。

そこまで自発的に飲んでおきながら、帰宅して妻に会うのが怖くなりました

少し小腹が空いていたので、寿司屋に行くことになりました。

先輩は先に帰っていたので、上司と私の2人です。

飲み物はお茶にしました。

そのとき、少しでも酒を抜きたいと思っていました。

「上限を超えて飲んでしまったことを隠したい」

「無かったことにしたい」

「帰って妻に2杯でやめられたと言いたい」

そう思いました。

寿司屋を出て解散した後は、ちょっと遠回りして帰りました。

いくつかバーがありました。

この期に及んで、もう少し飲んでしまおうかという自暴自棄な感情もありました。

でも、バーには入らずに、またちょっと遠回りをして帰宅しました。

「バレたくない」と思いながら家に入りました。

情けないです。

帰宅後、妻には上限(2杯)を超えて飲まなかったフリをしました。

それは相当無理があったでしょう。

きっととても酒臭かったと思います。

それから、普段の会話のように話すこともできませんでした。

普通に話しているつもりでも、少し自分の声が大きくなっているような感じがしましたし、何より、会話のキャッチボールが上手くできている気がしませんでした。

上手く話せない私は「バレるかも」と焦りました。

そして、訝しげな目で私を見る妻に「また飲んだと思ってるんだろう」といった言葉を吐き、寝ました。

「ごめん。飲みすぎてしまった」ということはできませんでした

起きたとき、少し二日酔いがありました。

酒鬱と罪悪感とで、気持ちはどん底でしたが、飲みすぎた事実を自白できなかった以上、それでもスリップを無かったことにしようと必死に普段通りに振る舞いました。

そして、その夜も偶然飲み会がありました。

「今日は飲みすぎないでね」

と妻は私に言いました。

私はここで初めて、妻に謝ることができました。

妻がいなければ、私はこのスリップを無かったことにしていました

そして、それは今後アルコール依存症の治療を続けていく上で、とてつもなく大きな負債となったことでしょう。

これまでこのサイトを訪れてくださった方やTwitterでフォローいただいている方を欺き続けることになりました。

妻に感謝すると同時に、皆様に深くお詫び申し上げます。

嘘をつこうとして、申し訳ありませんでした。

翌日もリアル飲み会

その後、スリップを公表する決意をし、ツイートしました。

加えて、そんな状況においても、その夜に飲み会がある旨を共有しました。

多くの方から、いろいろなアドバイスをいただきました。

それが支えとなり、その夜の飲み会では何とかスリップを繰り返すことはありませんでした

ただ、1杯だけ、ビールを飲みました

徹底した断酒をされている方からするとヌルいと思われるかもしれませんが、その飲み会には異常な酒好きと噂される方が出席するがゆえに、酒ゼロで済ますことは難しいだろうと、はじめから私自身で決めつけていました。

また、一度私の理由でリスケしてもらった飲み会だったので、キャンセルすることもできませんでした。

飲み会にいったのも、そこでビールを1杯飲んだのも、私が断酒治療から減酒治療に切り替えた理由そのものがあてはまる状況でした。

蓋をあけてみると、その酒好きな方は、人に飲ますようなタイプではなく、自分が飲めればそれで良いタイプの方でした。

その雰囲気を感じて、2杯目のオーダーはやめました。

今後の治療方針

今後、どのようにアルコール依存症の治療を続けていくのが良いでしょうか。

私が思っているのは、通院を再開し、それを継続することで、それ以上のことはまだ考えられていません。

通院して、このスリップの話を先生にした結果、減酒治療が終わり断酒治療に切り替えることを提案もしくは強制される可能性もありますが、その場合は先生の指示に従うつもりです。

まとめ

減酒治療をはじめてから2度目のスリップでした。

6杯飲んで、トラブルなく帰ってきた

普通の人には少し飲みすぎたくらいの話でしょうが、アルコール依存症の私にとっては改善しなければならない重大な問題であると受け止めています。

そして、スリップを隠そうとしたことも同時に重大な問題であると反省しています。

私はアルコール依存症を克服した勇者ではありません。

反対に、どっぷりアルコール依存症患者そのものであり、失敗を嘘で塗りつぶそうとするような弱い人間です。

読者の皆様には、何とも情けない姿をさらしてしまいました。

イチから出直して参ります。

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