断酒でなくて減酒の選択に至った理由(後編)

テンです。今日も酒はゼロ。

アルコール依存症である私が、減酒という治療を選んだ理由についての後編です。

前編はこちらです。
断酒でなくて減酒の選択に至った理由(前編)

アルコール依存症の自覚と断酒スタート

初めてアルコール依存症外来を受診したのは、今からおおよそ4年前。2015年だったと思います。

病院の先生は私をアルコール依存症だと診断されました。

アルコール依存症は治りません。

医学的なことは詳しくありませんが、どの病院の先生もそうおっしゃいますし、インターネットで調べてもそう書いてあるので、きっと治らないのでしょう。

よくある例え話ですが、私の飲酒はブレーキが壊れた車を運転しているようなもの。このブレーキはもう直らないので、車に乗ってはいけない。つまり、車に乗らない以外に事故を避ける方法はない。

つまり酒をやめるしかありません。

断酒…これまでほとんど全ての人間関係を酒を介して構築してきた私にとって、これは大変難しいと感じました。が、家族の強い願いから、断酒に取り組むことに決めました。

断酒。ときどき飲酒

酒をやめることを会社で宣言しました。

皆に笑われるのか、何と言われるのか。非常に勇気のいる決断でした。しかし、それは案外普通に受け入れられました。私の酒癖が余程悪かったのでしょう。

当時の上司は「タチバナが酒をやめたからと言って飲み会に誘わなくなるってことはないよ」と優しい言葉をかけてくれました。

友人にも酒をやめたことを伝えました。面白くないと言われたりもしましたが、飲んで帰って家族を失望させることを想像すると、飲まない方が随分楽です。

とはいえ酒をゼロにすることはできませんでした。飲んでしまう定型パターンがいくつかありました。

1.酒を何度も断っているのに勧められる
2.家族が不在

1つ目のパターンは社外の方や友人との宴会でみられます。

断り疲れてイライラしてきて、もうキレるしか断り方が思いつかなくなり、うーん…と迷った挙げ句、楽な方に逃げてしまう。

つまり最終的には断るのが面倒になり、酒を飲んでしまいます。

ただ、こういうときは1杯や2杯で止まるので、飲酒トラブルに発展することはありません。

2つ目のパターンが問題です。

普段飲みの席で酒を飲まずにやっていると、しばらくするとパーッと飲みたい衝動がやってきます。

原因は「飲みたい」という思いだけではなかったと思います。

酒をやめてから、友人・上司・先輩・後輩問わず、これまで仲が良いと思っていた人との距離が少しずつ離れていっているのを感じていました。

なので、焦りにも似た感情でパッーと友人と飲んでしまうのです。

しかしながら、当然そんな飲み方をすると家族にバレてしまう。がっかりさせてしまう。

でも、たまに家族が不在のときがあります。

そういうときに、バレなければ無かったことになる…と悪魔の囁きに負けてしまい、パーッと飲んでしまい、結果、何かしらの失敗を起こします。

普段飲まないのと、年々歳をとっているのもあって、酒にどんどん弱くなっているようで、昔飲んでいたように飲むと必ずといっていいほど失敗しました。

ほとんど飲まない断酒は「失敗」

飲んだことを家族が知ると、大変がっかりします。私は怒られます。コツコツ積み重ねた信頼も失います。

こういったことが断酒スタートから半年に一度ほど、定期的にありました。

しかし大半、というか9割くらいの飲み会では酒ゼロです。

パーッと飲むのは論外だとしても、たまにある面倒な人の無理強いで致し方なく飲んでしまうことは、こちらの状況も少し察してほしいという気持ちが、私にはありました。

一方で、これまでに辛い思いをしてきている家族は、どんな理由であろうがパーッと飲んでも1杯だけ飲んでも、程度の差こそあれ飲んだ時点で失敗

それもわかります。1杯飲んだ時点で断酒ではないと言われればその通り。

家族の期待に応えて、断酒を完全に成功させるには、もう極端なやり方しか思い付かない状態になってしまいました。

会社にアルコール依存症の診断書を提出してアルハラ対策する。もしくは会社を転職して、誰も知らない環境で「飲めない人」として生きる。その上で、これまで仲が良かった友人への未練を捨てて、「飲めない人」としての新たな人生の中でできた友人を大切にする。

こういう生き方をしても良いのかもしれません。人によっては、そういう生き方を選べるのかもしれません。

しかし現時点で、私にはその決断はできませんでした。断酒は自分には無理だと思いました。

減酒へのチャレンジ

この行き詰まった私の状況を家族は理解してくれました。

そして、減酒外来で病院の先生が認めてくれるのであれば、減酒にチャレンジしてみようということになりました。

2019年3月にセリンクロという減酒薬が発売された点が、この決断を強く後押ししました。

減酒といっても、基本的に飲まないスタンスは変わりません。

ただ、酒を断った際に無理強いされるようなことがあれば、飲んでも良いんです。友人と飲みたければ、「飲みに行こう」と誘うこともできます。

もちろん、減酒のルールを守った上での話です。

・セリンクロを事前に飲む
・(私の場合)飲酒は1日に2杯まで
・飲酒したこととアルコール量を記録する
・減酒外来受診時に先生に報告する

これらを守って、日々の減酒の成功体験を積み重ねることができれば、私の悩みはすべて解決できるように思いました。希望を感じました。

同時に、もう失敗するわけにはいかないと感じます。

アルコール依存症の方及びそのご家族や周りの方へ

これまでの文章で、私の考えを私の価値観で好きに書かせていただきました。

断酒に関して、何をもって成功とし失敗とするかは、人それぞれで基準が異なると思っておりますし、この場で書かせていただいたことは、あくまで私個人の価値観です。もし気を悪くされた方がいらっしゃいましたら、お詫び申し上げます。

私の「減酒」という選択が正しかったのか、そうでなかったのかは、一生わからないと思います。

それは、「選ぶ」という行為が、どれか一つを決める行為であって、選ばなかった他の可能性は永遠に知ることができないからです。

2019年10月時点で、私と家族の人生の価値を最大化するアルコール依存症治療の選択は減酒でした。

これからも日々、私の減酒への挑戦を発信していきたいと思います。

そして、それは私自身の減酒の記録です。

それが、もしこのサイトに訪れてくださった方に何かの参考になれば幸いです。

4 COMMENTS

羅門hg

なるほど。痛いほどわかりますね💦

しかし、自分は無理でした。うまくいくこと願い、応援させていただきます。

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タチバナテン

拙い文章、最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
減酒という選択について、自分自身への心配もありますが、
この挑戦が皆様の希望になるよう、がんばります。

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