アルコール依存症の治療には、抗酒剤と呼ばれる身体の代謝を制御して物理的にお酒を飲めなくする薬が使用されてきました。
しかし、近年では神経に作用して飲酒欲求を抑制する薬の使用も盛んになってきています。
このページでは、アルコール依存症の治療で使われる薬をご紹介します。
今回ご紹介するのは、私タチバナと記事の制作協力者の小石さんが実際に服用する(したことがある)薬のみですので、少々偏りがあるかもしれませんがご了承ください。
また、我々の体験談だけでなく、
「そもそもなぜ薬物療法が必要なのか?」
「薬を飲んでも身体は大丈夫なのか?」
「費用は?」
といった疑問に対する個人的考察を紹介しますので、参考にしてみてください。
目次
薬物療法はなぜ必要なのか?
これまでの記事で何度も触れていますが、アルコール依存症は脳の病気です。


飲酒欲求を抑えるためには、薬物を使用することもあります。
アルコール依存症で薬物療法を行う目的は主に2つあります。
- 離脱症状や不眠症状、不安感を和らげるため
- 断酒の継続をサポートするため
目的に応じて、適切な薬物が使用されます。
そもそも薬物療法って大丈夫なの?
薬物療法と聞くと、
「薬物って大丈夫なの?」
「薬代が高いのでは…?」
などと不安を感じる方もいらっしゃるかと思いますが、そんなことはありません。
服用する場合は、必ず専門病院で検査と診断を行ってからおこないます。
また、抗酒剤と睡眠薬の2種類を毎日服用したとしても、月にかかる金額はざっくり5,000円強です。

しかも、国からの助成金や会社の手当てを活用すればさらに安くなります。
また、人によるところも大きいですが、必ずしも薬を一生飲み続けるわけでもありません。
実際、減酒治療中の私は毎日薬を飲んでいるわけではなく、飲み会の前のみ服用しています。
また、入院して断酒治療をはじめた小石さんは、毎日薬を飲んでいたのは退院後の数ヶ月ほどで、1年経った今ではほとんど飲んでいません。
ただし、月に1回程度の通院とカウンセリングは欠かさず続けています。
「へえ~、じゃあ薬は飲まなくても大丈夫なのか」
なんて思うのは時期尚早。
特に自己判断は禁物で、私にしても、小石さんにしても、専門病院で治療を行い、医師の指示に従っています。
最も危険なのは、「もうこのぐらい酒を我慢できたんだから、もう薬は飲まなくても大丈夫でしょ!」と自分で勝手に判断してしまうことです。
こうした慢心が再飲酒(スリップ)の原因となってしまいます。
こんなことを偉そうに書いている私も、実は何度もスリップの経験があります。
思い返すと、やはり慢心ゆえに、通院の頻度が落ちたり、薬を飲まなくなったことが一因です。
最近はインターネットを通じて簡単に情報を入手できるようにはなりましたが、基礎知識のない素人の判断と、医学・薬学の専門知識を持った医師や薬剤師の方の判断ではまるで違います。
また当たり前のことですが、薬というのは一歩使い方を誤れば毒と化します。
そうならないためにも、専門家の意見を大切にしましょう。
改めて、
- 薬物療法は専門病院の診断をもとにする
- 自分で判断せず、専門家の意見を聞きながら薬を服用する
これらのことを肝に銘じておきながら治療を進めましょう。
アルコール依存症治療で使用される薬物
実際にアルコール依存症の治療で使用される薬を個人的に調べてみました。
これらの情報は私タチバナが個人的に厚生労働省やアルコール依存症治療のNPO法人のWEBサイトから集めた情報ですが、あくまで素人が集めてきた情報です。
参考程度にとどめておいてください。
離脱症状・不眠・不安感を和らげる薬
睡眠薬と抗不安薬に分類されます。
うつ病やパニック障害など他の精神疾患でも使用されています。
- 睡眠薬
– 鎮静薬
– 睡眠導入剤 - 抗不安薬
– ベンゾジアゼピン系抗不安薬
断酒の継続をサポートする薬
抗酒剤と呼ばれる代謝を下げて物理的にお酒を飲めない身体にする薬と、飲酒欲求を抑える薬の2種類に分類されます。
- 抗酒剤
– シアナミド(シアナマイド)
– ジスルフィラム(ノックビン) - 飲酒欲求を抑える薬
– アカンプロサート(レグテクト)
– セリンクロ
タチバナ&小石さんが実際に使用した薬はどんな感じ?
実際に薬物療法を体験した身として、私タチバナと小石さんの体験談をご紹介します。
「実際に飲んでみたらどうなるの?」
「副作用は?」
そんな不安をお持ちの方は、参考にしていただければと思います。
私タチバナの薬物療法
私は「セリンクロ」による減酒治療に取り組んでいます。
セリンクロは最近開発された新薬で、飲酒欲求を抑制するための薬です。
減酒治療でよく使われる薬です。
~感想~
実際にセリンクロを飲んだ際は、軽いめまいの副作用を感じます。
それも相まって、飲酒欲求は抑えられるように思います。
服用するタイミングは飲み会の1時間ほど前です。
飲み会では「生ビールなら中ジョッキで2杯(純アルコール量40g)まで飲んで良い」という、医師と相談して決めた減酒の自分ルールの範囲内で飲酒します。
連続して飲み会がある際にはセリンクロを毎日服用しますが、良くも悪くも薬への身体の慣れが出てきて、副作用を感じなくなってきます。
しばらく飲み会がなくセリンクロを服用しない期間が長くなると、再び服用した際に、また副作用を感じます。
飲酒欲求は抑えられているようには感じますが、一生経過観察だと思っています。
小石さんの薬物療法
小石さんが使用している薬物は鎮静薬系の睡眠薬「ベルソムラ」と、抗酒剤の「シアナマイド」です。
寝酒の習慣があった小石さんは、不眠症状が出たときのために睡眠薬を処方してもらったのだとか。
ベルソムラは「途中で目が覚める」「朝早くから目が覚めてしまう」「熟睡できない」といった症状に使用される薬です。
通常の睡眠薬が強制的に眠らせる依存性の強いものなのに対し、ベルソムラは自然な眠気を強くし、しかも依存性が低い新しい睡眠薬として近年注目を集めています。
シアマイドは昔から使用されている抗酒剤の一つです。
無色透明で無臭な液体をしており、服用は基本的に朝。
アルデヒド脱水素酵素(アルコールを分解してくれる酵素)の働きを阻害するため、シアナマイド服用後に飲酒をすると酷い二日酔い状態になります。
~感想~
シアナマイドは「薬品臭い水を飲んでいるような味がする」とのこと。
今のところ、どちらの薬でも副作用はひどくは出ていませんが、ベルソムラを飲んだ朝はいつも以上に寝起きが悪くなるため、「起きるのに苦労する」と苦笑気味でした。
小石さんの場合、少なめの15㎎でも効きすぎてしまうため20㎎錠剤を半分に割って使用していたそうです。
またベルソムラは湿気に弱いため、開封後はすぐ飲み込まなければなりません。
まとめ
アルコール依存症の治療において、人によっては入院をすることもありますが、入院した後は退院を目指すでしょう。
となると、退院後に通院しながらどのように治療を継続するかは非常に重要です。
薬物療法は、この退院後の治療で大いに活躍します。
医師と相談しながら、価格・副作用・身体との相性などを総合的に見極め、自分の生活スタイルに合った方法で治療を継続していきましょう。
良い病院で良い先生と出会いはもちろんのこと、その上で、自分にあった薬物療法が見つかり、あなたのアルコール依存症が回復し続けることを願っております。


最近のブログ見させてもらっています。
最近の内容ちょっと心配しています。
なにかと言うと、特に今日の情報など薬剤師法とかに触れないかとか。
すごく、微妙なラインかと。
他にも治療についてのアドバイスなども、ご自身の経験談なら良いと思います。
でも、聞いた話などを中心にかなり具体的なので医師法に触れないのかな?とか。
それと何かを文献で調べたのなら出典必要じゃないのとか。
杞憂だと良いのですが、公にしているものなので、細心の注意は必要かと。
批判ではないので、ちょっと気になったことを書かせていただきました。
私も以前注意を受けたことがあるものですから。
コメントいただきましてありがとうございます。
ご指摘を受けまして、過去の記事も含めて見直しました。
いくつか加筆修正したほうがよい箇所があると感じましたので、
準備ができ次第、順次修正をおこなっていきます。
ご指摘、誠にありがとうございました。
こちらの件、いくつかの記事で修正をおこなっております。
この度はご指摘いただきまして誠にありがとうございました。
今後とも、よろしくお願い致します。