減酒の治療方法を徹底解説!減酒外来はどこにある?

近年、アルコール依存症の治療方法として減酒が導入されている病院が増えつつあります。

減酒治療は、ハームリダクションの考え方から、アルコールを完全に断つのではなく、定期的な通院と記録、薬物療法により飲酒コントロールを図ろうとする治療法です。

では、具体的にはどのような治療法なのでしょうか。

このページでは、減酒治療の具体的な方法と、減酒治療に取り組める減酒外来のある病院をリストアップしました。

「もしかすると自分はアルコール依存症かもしれない」

「アルコール依存症を治療をしたいが、断酒が難しい」

そう思っている方はぜひこの記事を参考にしてみてください。

制作協力
このページの制作には、アルコール依存症初期で精神病院へ入院された小石(仮名)さんにご協力いただいております。小石さんは入院中に他の依存症患者の方と共に治療プログラムに参加されていました。現在は断酒での治療に取り組まれています

減酒外来とは?

減酒外来ではアルコール依存症を減酒によって治療します。

そもそも減酒治療はアルコール依存症における受診の抵抗感を減らすことを意図しており、より多くの人に気軽に治療を受けてもらおうと考案されました。

治療へ至るまでの流れをご説明します。

  1. 減酒外来を受診
  2. 減酒治療したい旨、なぜ断酒できないか等を医師に正直に話す
  3. 血液検査・尿検査などを行い、身体の状態をチェック
  4. 医師のOKがでれば、減酒のルールを医師と設定
  5. 減酒治療スタート

減酒治療が断酒と決定的に異なる点は、酒を飲んでも良いということです。

ただし、好き勝手に飲んで良いわけではありません

減酒治療では患者ごとに「1日に摂取して良い純アルコール量は◯グラムまで」といった飲酒制限が設けられます。

この患者ごとの減酒のルールは、患者本人が勝手に決めて良いものではなく、医師と、場合によっては家族など治療を日常的にサポートしてくれる方の同意のもとに決定します。

アルコール依存症治療において、減酒は新しい治療法であるため、まだ広く認知されていません。

サポートしてくれる周囲に減酒治療の理解がないと、「治療と言いつつ、なぜ酒を飲んでいるんだ」と思われてしまう可能性も十分にあります。

医師と患者本人だけでルールを決めてしまうと、サポートしてくれる周囲の納得感が得られないこともあるので、減酒のルールを決める初回の受診では、家族等に同伴してもらうことを私はオススメします。

私の減酒のルールでは、1日に摂取して良い純アルコール量は40gです。

これは、生ビール(中ジョッキ)2杯程度です。

なぜ生2杯(純アルコール量40g)を上限に設定したのかと言うと、会社の飲み会はだいたい2次会まであるためで、1軒につき1杯飲むことを想定しました。

また、自分のこれまでの飲酒経験上、2杯程度であれば酔いを感じないので、3杯目を自分の意志で我慢できるだろうと考えました。

加えて、飲酒する際は必ずセリンクロという飲酒欲求を抑える薬を服用するということもルールとして決めています。

繰り返しますが、これらの減酒の自分ルールは医師と家族と相談の上、決めました。

詳しくは、別ページに記載しておりますので、気になる方は下記からご覧ください。

減酒通り上ル減酒の自分ルール

減酒治療の具体的な方法

減酒治療は大まかに3つのことを行います。

  • 薬物療法
  • 徹底的な飲酒記録
  • 医師による定期的なカウンセリング

手順は下記です。

  1. 飲酒をする1~2時間前に薬を服用
  2. 飲酒をした後に、自分が飲んだ量を正確に記録
  3. 医師に飲酒量を報告し、そのときの自分の身体・精神状態を共有

では、一つずつ見ていきましょう。

薬物療法

減酒治療では、セリンクロ(ナルメフェン)という薬を服用します。

この薬は飲酒欲求を抑える作用があり、これを服用することで飲酒コントロールを図ります。

セリンクロは飲酒をする1~2時間前に基本1錠を摂取し、1日1回が限度です。

人によって異なりますが、代表的な副作用としては、めまい・胃のむかつき・眠気・注意力の低下などが挙げられます。

私の場合、セリンクロは飲み会の1時間前に忘れずに服用することを心がけています。

逆に自宅での飲酒習慣は元々ないので、飲み会のない日は薬を飲みません。

副作用としてはめまい(クラクラした感じ)がありますが、飲み慣れてくると治まります。

セリンクロをはじめて服用した際の記録がありますので、興味のある方はこちらをどうぞ。

減酒外来1回目セリンクロを飲んでみた

徹底的な飲酒記録

減酒治療の記録は毎日行います

記録する内容は以下の通りです。

  • 薬を服用したかどうか
  • 酒を飲んだか、飲んでいないか
  • 飲んだ場合は何杯(純アルコール量で何gのアルコールを)飲んだか

この記録方法についてはノートや記録用の冊子などでなくとも、ブログ・Twitter・アプリ「減酒にっき」等、何でも構いません。

どのような形であれ、毎日正確に記録することが重要です。

こうして記録を行うと、

  • 自分がどういうときに酒を飲みたくなるのか
  • 毎月どの程度、酒を飲んでいるのか
  • どのような飲み方をしているか(一人で?飲み会で?)

といった自分の飲酒習慣が把握しやすくなります。

これはまぎれもなく自己分析で、自己分析によって飲酒コントロールのタガが外れないよう自制していくのです。

私の場合は、アプリ減酒にっき」による記録をメインでおこない、Twitterやブログを併用して記録しています。

アプリ「減酒にっき」は、酒の種類と飲酒の杯数を入力すると、純アルコール量(g)が自動的に計算され、カレンダー上に表示されるので便利です。

前述した通り、ここで飲むことを許容される純アルコール量は、事前に定めた減酒の自分ルールに従います。

ルールで定めた上限値よりも多く飲酒してしまった場合は、その日の減酒は失敗です。

あまりにも失敗が多いようであれば、ルールの改定が必要かもしれませんし、そもそも減酒治療が向いていないのかもしれません。

失敗が多い場合は、断酒治療への切替えも含めて、改めて医師と話し合うことになるでしょう

医師による定期的なカウンセリング

薬の服用と飲酒の記録を行った後は、定期的に通院して記録した内容を医師に報告します。

その報告をもとに医師がアドバイスをしてくれるので、その指示を聞きながら次の通院までの減酒生活の見通しを立てます。

また、減酒・断酒に限らずアルコール依存症治療をしていると、安心感や油断からスリップ再飲酒)してしまうことがあります。

定期的に通院を行っていれば、スリップで治療生活が崩れてしまった場合でも立て直しやすくなります。

定期的な通院は手間ですし、面倒に感じることもありますが、減酒による治療ではマストです。

私の場合は、飲酒があろうがなかろうが、特別な理由がない限りは2週間に1度、通院するようにしています。

減酒外来への通院は下記で記録しているので、興味のある方はご覧ください。
https://genshu.biz/category/hospital/

ただ、2020年3月以降はコロナウイルスの影響で通院が不定期になっています。

全国の減酒外来4選

減酒外来がある病院を4つリストアップしました。

まだまだ数が少ないのは事実ですが、もし通えそうな場合は治療先の候補として検討してみてください。

さくらの木クリニック秋葉原

秋葉原駅から徒歩で行ける距離にあるアクセス抜群の病院です。

減酒外来はもちろん、本格的なアルコール依存症治療に加えて専門デイケア・復職デイケアも行っており、通院後の支援が充実した病院です。

また、アルコールに悩む女性への治療にも力を入れており、メールや電話での相談も受け付けています。

病院さくらの木クリニック秋葉原
住所東京都千代田区神田岩本町1番地 清水ビル2F

久里浜医療センター

アルコール依存症治療の最先端を担う病院です。

減酒外来を最初に始めた病院であり、治療実績・患者の来院数も他院よりずば抜けています。

公式HPからはアルコール依存症かどうかの診断テストを受けることもできます。

「私も、もしかしてアルコール依存症では…」と不安に思っている方は、まずHPから診断テストを受けてみてください。

病院久里浜医療センター
住所神奈川県横須賀市野比5-3-1

西山クリニック

アルコールや薬物依存だけでなく、買い物依存症やギャンブル依存症、引きこもり、摂食障害など様々な精神疾患に対応している病院です。

初回の場合は電話予約が必須であり、その際に減酒外来を希望することを伝えてください。

病院西山クリニック
住所名古屋市名東区上社1-704

あつた白鳥クリニック

内科・精神科・心療内科を専門とするクリニックで、うつ病や適応障害、不安症などの疾患から、統合失調症、発達障害、依存症など多岐にわたって治療を行います。

減酒外来では、まず血液検査・尿検査・骨密度検査などの検査とカウンセリングしたうえで、治療方針を決めていきます。

病院あつた白鳥クリニック
住所愛知県名古屋市熱田区白鳥3丁目10-19 BLG白鳥2F

まとめ

減酒治療は近年新しく始まった治療法なので、減酒外来は全国でもあまり多くはありません。

また、減酒治療を始めるには、まず血液検査などで身体の状態を検査してからおこないます。

患者の身体の状態によっては、減酒ではなく、断酒による治療が必要になることもあるので、医師の判断に従うようにしてください。

減酒であれ断酒であれ、アルコール依存症治療では「治したい!」という意思を持つことが大前提です。

特に減酒治療では患者自身が自分の意志で自分のルールを守る(薬を服用する・飲酒を記録する・通院する)ことができなければ、治療が成り立ちません。

アルコール依存症は治療できる病気ですが、生半可なことを続けていれば、いずれ断酒するしか治療する術がなくなってしまいます。

酒に人生を食いつぶされてしまうのは、もったいないです。

減酒治療に取り組むことを決意された方は、私と共にがんばりましょう!

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